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<25>
おじさんに、こん話を聞いた事がある。 その日は珍しく二人とも歩いて釣り場にやって来ていた。その帰り道・・・いっぱいやって帰る事になった。話はやっぱり猫達の事に・・・ 「笑うなよ」と言っておじさんが自分から先に笑った。 寝ていた亮がおじさんの竿の動きに反応して立ち上がる。 「頼むよ」おじさんは竿の先の釣り糸を手繰り寄せて、亮に手渡す。 「分かってる、まかしておきなって」亮は自信たっぶりに、おじさんから釣 り糸を受け取る。 「亮、ちゃんと出来るか。お兄ちゃんがやろうか」流も心配そうに覗き込む。 「大丈夫さ」亮はそう言うと、餌箱から餌を摘んで釣り針につける。 「ほら出来たよ」亮は自慢げにおじさんに見せる。 「おお、よしよし」とおじさんが餌の付いた釣り糸を亮から受け取り、海面に投げ入れる。 「早く釣れないかな、まだかな」亮が海面を覗き込む。 「ほら、気をつけろよ。危ないぞ」流が心配して、亮の身体を押さえる。 そんな兄弟のやり取りを、おじさんは笑って見ている。 #
by riki036
| 2007-09-04 15:48
<24>
流と亮の二匹が残り、しばらく母猫と歩いているのを見掛けました。一ヶ月程たつた頃でしたでしょうか、母猫の姿を、この餌場からバッタリ見掛けなくなったのです。 母猫は流と亮を残して何処かに移動した様です。もしかすると、母猫は流と亮に、この餌場の権利を譲って、自分は新しい餌場を求めて行ったのかも知れません。 ある日突然に、二人きりになった流と亮の兄弟は、訳が分からず、しばらくは母猫を捜して辺りを、ミャーミャーと言う母猫を呼ぶ声を上げながら歩き回っていました。 今でも時折、じっと遠くを見ている亮を見る事があります。母猫がいつか戻って来るのではないかと思っているのでしょうか。 私もいつか戻って来る様な気がします。大きくなった流と亮を見に #
by riki036
| 2007-09-04 15:44
<23>
「駄目よ、放しなさい」 母親は子猫を抱き抱えた子供に、放す様に言っていましたが、女の子は抱っこした まま離そうとしません。 「駄目よ」さらに母親に言われても女の子は言う事をききません。 とうとう女の子は泣きじゃくり始めました。 「可愛いもんな」すぐに父親が助け舟を出しました。 「また、この子には甘いんだから」 やがて、母親も根負け。 「お名前・・・ミーちゃん」 女の子は、すぐに子猫に名前をあげました。 兄弟の中でも愛想のいい子猫で、誰にでも懐き抱っこさせて、嫌がりもせず大人しくしている子猫でした。 やがて親子は歩き出しました。 その時、母猫は連れて行かれる我が子の様子を、少し離れた場所からじっと見つめていました。子猫を取りかえそうと抵抗する様子も無く、じっと見つめているだけでした。 きっと理解していたのでしょう。我が子が新しい家族を見つけて旅立って行くのだと言う 事を。 私も釣場の仲間も「よかったな、幸せになれよ」と、言葉にはしませんが、 祝福と願いを背中越しに送っていました。 今思えば、母猫は子猫達を連れて、人が多く集まる場所を選んで歩いていた様な気がします。我が子の未来を、誰かに託すつもりで、連れ歩いていたのかも知れません。そんな気がします。 それから数日後に、もう一匹も見掛けなくなりました。 #
by riki036
| 2007-09-04 15:41
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by riki036
| 2007-09-04 15:39
<21>
流と虎の釣場での様子からは想像もつかない争いが時々発生する。 それは不意に始まる。突然、予告も無しに闘いのゴングが鳴り響く。辺りの空気 を切り裂く様な甲高い声。釣場のすぐ後ろの林の中から聞こえて来る。そうして 、いつも始まる。 しばらくは、たがいに睨み合いながら、あの奇声を上げ威嚇しあう。釣場ではあれだけ接近しても互いに無視していた流と虎なのに、一歩釣場を離れるとライバル心と闘争本能がメラメラと燃え上がる様だ。 この時、弟の亮はどうしているかと言うと、安全な木の上か、茂みの中にいち早く逃げこんで、 騒ぎの終わるのを待っている。 おじさんが釣場に来ている時は、流は亮と一緒におじさんの側にべったりなので穏やかな時間だ。 しかし、おじさんが現れない時は、我々他の釣人は気がきではない。どちらが勝利するにせよ、大きな怪我などをする事のない様にと、あの甲高い彼らの奇声が響く度に気が揉める。 おじさんは幸せなのかも知れない。この闘いは、おじさんがいる時は起こらないからだ。おじさんの姿が釣場にない日は、ある意味私は我々は釣どころではないのです。おじさん来てくれ、お願いだ。 さらにかん高い声がして、前哨戦の小競り合いが始まった。 「仕方ねーな」誰かが周りに聞こえる様に言って立ち上がった。 『赤ジー』だ。いつも赤いヤッケを着ているおじさん。 赤ジーは、後の林に向かって歩き出す、ゆっくりと。 赤ジーはゆっくと歩いているつもりだろうが、段々と足早になって行く、赤ジー以外の誰がこのお役目をやっても同じだ。どこかに早く止めなきゃと言う思いからだろう。 「こーら、またお前達か。しょうがねーなー、止めろ止めろ」と赤ジーが猫の喧嘩の仲裁に入る。 そんな言葉で効く訳がないのだが。 「大事な弟がいるんだろが、止めろって」 この言葉に、仲間の気持ちが詰まっている気がする。 赤ジーは仕方なく側の木の枝を揺すって、驚かせ止めさせる。 それでやっと流と虎の喧嘩は終了する。 流と虎は、バラバラの方向に走りさる。やれやれである。 避難していた亮が、流の逃げ込んだ草むらに向かって走り出す。 「大丈夫だぞ、すぐに戻って来るよ。亮を置いてなんか何処にも行かないよ」と赤ジーが叫ぶ。私も釣場のみんなも、心の中で叫ぶ 。 #
by riki036
| 2007-08-24 15:07
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